「血虚と血」      (H25.2

 

今年の冬は寒いですね。冷え性持ちの方には辛い季節となっていることでしょう。 

 

『冷え』それ即ち血行不良と言い換えられます。 

血液がギュンギュン巡っている時に寒いと思う方などいないでしょ? 

そう、体温は血液が主っているんです。 

 

その巡りが悪くなると、低体温、貧血、冷え性はもちろん、 

血液から栄養をもらっている内臓、脳、ひいては自律神経、内分泌系(ホルモン)

にまで影響は及び、失調や病気を引き起こします。

 

東洋医学ではこの血行不良を「血虚」といい、

体調不良の原因の一つとみて治療対象となります。

 

じゃあ、血液を流せばいいのか?そうではないです。流れる血液の「質」だって大事です。

 

栄養スカスカの血液では流れが悪い状態と何ら変わらないし、

それどころか、悪いものが混じってたら、悪いものが全身に回るわけですよね?

尚更身体には悪いです。

 

この悪いものが巡るという考え方も、東洋医学には古来より伝わっていて

これを血』(おけつ)というんです。

 

でも悪いものが巡ると言ってもピンと来ないですかね?それは…「古い血液」なのです。

 

それは

元々の貧血・冷え性体質(血虚)からや、自律神経やホルモンバランスの乱れから血液の流れが悪くなったり、

またはひどい食生活から血液そのものがドロドロになり流れが滞ったりして、

本来流れるはずの血液が血管にへばりついたり、

網状に拡がる血管群の一部で留まってしまった結果出来てしまった古い血液のことです。

(女性は月経や出産で流れ出切らず体内に残存してしまった血液も)

 

食べ物だってあまり置いておくと腐ってしまうものが多いですよね?

摂取した食事は身体の中で血液に形を変えてはいますが、やはりあまり古いものは言うに及ばずです。

どうしても抗菌力を失ってしまいますから、細菌の寄生繁殖も容易にしてしまいます。

それが全身に運ばれたら、身体が変調をきたしても不思議はありませんよね。

 

 元々この 『血』という病理思想は東洋医学独自の考えであって、

近代医学に於いてはこれが各種病気の原因になるなどという認識はなく、

したがって何の治療対策も講じられてきませんでした。

これに対して東洋医学では長い歴史の中で不調、病気の

とくに重要な原因だと論じられてきた為、対策も昔から磨かれてきたんですね。

 

 この寒さから血虚を酷くして、さらに血まで生まないように、

末端だけでなく血の出来やすいお腹も温めてあげましょう。

 

血が原因で起こるとされている病気を以下に挙げておきます。

 

  慢性消化器疾患(胃酸過多、胃潰瘍、胃がん、虫垂炎、慢性便秘、痔疾等)

  循環器疾患(動脈硬化症、高血圧症、脳出血等)

  各種の婦人病(ヒステリー、血の道症、帯下、更年期症、子宮後屈、子宮筋腫等)

  皮膚疾患(蕁麻疹、湿疹等)

  頭痛、頸肩の凝り、坐骨神経痛、腰痛、関節痛、神経症、精神異常等

  泌尿器疾患(膀胱炎、頻尿、乏尿等)

  肺結核、その他の結核性疾患

  その他、気管支喘息のような慢性疾患

『鍼灸臨床 新治療法の探求』より抜粋

 

 痛みや病には原因が必ずあるものですが、現代医学でも原因不明とされるものは意外に多いです。とくに心当たりのない不調や病気は、ひょっとしたら血が原因になっているかも知れません。

そして瘀血が原因で起きたわけではなくとも思った以上にしつこい不調や疾患には血が潜んでいることもよくあるので、痛みの原因ではないが治りを悪くする原因になっているケースもあります。まったく厄介なやつです。

 

どうでしょう?心当たりはありますか?今まで考えたこともない東洋医学の事を少し考えるきっかけになったら嬉しいです。なかなかに面白いですよ~。

 

岩島治療院院長 岩島 信吾