☆不定愁訴・その他

・30代 男性 手術を要する左眼の腫れ(結膜腫瘤)

 

30代 男性(自身の症例) 

手術を要する左眼の腫れ(結膜腫瘤)

 

 二か月ほど前から左眼の結膜が腫瘤状に腫れてしまった。きっかけは大好物のラーメンを食べている時に左眼に汁が飛び込んで、とくに気にも留めずにいたところ、その日の夜から眼がゴロゴロして軽く痛い。こりゃ麦粒腫かなと、二間(人差し指にある「ものもらい」に特効するツボ。大体は翌朝には治っていることが多い。)にお灸をすえ、寝た。しかし翌朝になっても一向に良くなっていない。

 

 二か月ほどして、忙しさにかまけて自身の治療をおろそかにしていたことを後悔するほどに腫れてきた。患者さんにも一目で分かるくらい。これじゃ治療に説得力がなくなるなと腰を据えて治療することに。しかしその前に、ここまで腫れた眼の状態は高校生の時、麻酔をかけて切った以来。つまりは今回も手術適応なのではないか?と思ったのだが、薬で治るものが鍼灸で治った、ではなく手術適応の症例が鍼灸で治った、というのは、自分の今後の治療人生にとっては大きな自信と経験が身に着くと思い、眼科の先生に手術適応の太鼓判を押してもらうことにする。どうせなら知名度も信頼も日本一と名高い御茶ノ水にある眼科病院に行って診てもらった。

 

 結果はやはり「手術」との事。日時の都合がついたらご連絡しますと言って帰ってきた。さて、鍼灸で治らなかったら手術だなと。

 

 では診察に。脈は「軟・数」。腹診は自分では多少やりづらいので妻に甘えてやってもらう。右の天枢(+)。その他の所見としては、左の行間が右より明らかに(+)。

 

 身体の免役力が弱っているところに、ラーメンの汁が入り完全に雑菌に負けたというところか。確かに最近忙しくて身体のケアをしていなかったのがまずかったか…。ちなみに「行間」というツボが眼の炎症を見事に表してくれている。

 

 つまり、免疫を強化し、行間の圧痛が取れるようにツボを選穴することで眼の腫れは無くなっていくと思われる。

 

 曲池3点に刺鍼し、その後、左行間(+)をとるべく、左中封・左曲泉に刺鍼する。左中封に鍼を加えている時に既に眼が開けやすくなり、曲泉に鍼後、施灸する。今回の腫瘤のように塊が形としてあるものを無くすためには、お灸が必須となります。

 

 師匠からの教えで、大体2週間やって変化があるなら治るヨと記憶しています。根気よく毎日続けると、6日目には腫瘤は半分になっていた。2週間続けると3分の1ほどになり、1か月続けてほとんど消失した。たまに今でもお灸はしている。

 

 本来手術で上眼瞼を切るはずだったのが、切らずにすんだというのはとても良かった。身体には無駄に傷をつけない方が良い。いわゆる「経絡」という気の通り道を阻害することで、他に何かしらの支障をきたす事もある為である。でも何より自身の自信になったことが大きいかな。